夏になり、手のひらや足の裏に小さな水ぶくれや痒みなどになやまされていませんか?

それはひょっとしたら、汗疱かもしれません。

汗疱とは、足の裏などに粟粒ほどの大きさの水疱がたくさん生じたのち、次第に小さな水疱が合わさり、大きな水疱になると、破れてジュクジュクし、痒みを伴う皮膚の湿疹です。

繰り返し起こる皮膚性湿疹ですが、この汗疱に効く薬でリンデロンというものがあります。

今回はそのリンデロンについてご説明しましょう。

 

リンデロンとは

リンデロンとは、ステロイドの一種です。

ステロイドとは、糖質コルチコイドと呼ばれる成分を科学的に合成した薬です。

通常、糖質コルチコイドは

体内の「副腎」という臓器で作られる、副腎皮質ホルモンの1つです。

薬として、処方されるステロイドは、その副腎皮質ホルモンの成分に似た、合成の副腎皮質ホルモンなのです。

 

そしてリンデロンは一般的に4種類あります。

リンデロンDP、リンデロンV、リンデロンVG、リンデロンAというものです。何が違うのが説明していきましょう。

 

リンデロンDP

成分は「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル」と呼ばれる合成副腎皮質ホルモンです。

ステロイドには作用の強さのランクというものがあり、リンデロンDPは2番目のランクの非常に強いものになります。

湿疹、皮膚炎などの治療に用いられますが、非常に強いステロイド剤のため、皮膚が薄い部分や顔に使用することはしません。手足や体幹などの皮膚の厚い箇所に使用します。

リンデロンV

成分は「ベタメゾン吉草酸エステル」と呼ばれる合成副腎皮質ホルモンのステロイド剤です。

強さのランクは、3番目のランクになりますが、上記のリンデロンVの成分に加え、抗生物質が加えられているため、リンデロンDPと比較すると、強さのランクが1つ下になります。

そのため、顔以外のところであれば、皮膚の薄いところでも使用可能です。

 

リンデロンVG

成分は「ベタメゾン吉草酸エステル」と呼ばれる合成副腎皮質ホルモンと「ゲンタマイシン硫酸塩」という抗生物質を合わせたステロイド剤です。

強さのランクは、3番目に強いランクになります。

上記のリンデロンVの成分に加え、抗生物質が加えられているため、リンデロンVよりも少し優しいものになります。

また抗生物質が含まれているということから、細菌の感染の可能性がある場合や、湿疹・皮膚炎・乾癬などの治療に用いられます。

化膿して炎症している場合に、このリンデロンVを使用すると、ステロイドの抗炎症作用と抗生物質によって、化膿止めの効果があります。

 

リンデロンA

成分は「ベタメゾン酸エステルナトリウム」と呼ばれる、眼・耳科用の合成副腎皮質ホルモン剤と、「フラジオマイシン硫酸塩」という抗生物質を合わせたステロイド剤です。

強さのランクについては、正確には記されていないのですが、顔などに使えることから、ランクは弱いものに該当するでしょう。

顔などの皮膚以外にも、点眼・点鼻薬として用いられます。

 

リンデロンの副作用

ステロイド剤と聞くと、副作用が心配されます。

当然リンデロンはステロイド剤のため、長期の使用はおすすめできません。

またステロイド剤は、保湿用クリームとは違い、基本的には局所的に使用するため、長期にわたり、また大量に使用することはありません。

医師からの指示通りに使用していれば、ほとんど副作用については、心配することはありません。

 

痒みがひどい、塗布すると症状が治まるからと言って、長期に渡って使用すると、ステロイド特有の副作用が出てきますから、注意しましょう。

 

ステロイドには、さまざまな種類のステロイド剤がありますが、リンデロンの場合、名前の最後についているアルファベットによって作用の強さや、どこに使用するのかが違ってきます。

必ず説明書を読んでから使用するようにしましょう。リンデロンだからといって、自己判断の上で、使用してはいけません。

汗疱にリンデロンが効く?

皮膚科で汗疱と診断されると、一般的には、マイザー軟膏・ネリゾナ軟膏・アンテベート軟膏などが処方されますが、もちろんリンデロン軟膏も処方されることが多いです。

主に強さランク3のリンデロンVGやリンデロンVなどが処方されることが多いようです。

 

しかし、リンデロン軟膏を使用したからといって、汗疱が治るというわけではありません。

皮膚科でステロイド剤が処方される理由は、今の症状を抑えるためなのです。

実は、汗疱が発症するはっきりとしたメカニズムは分かっていません。

原因が明確になっていないため、治療の仕方も定まらないのです。

汗疱ができやすい人というのは、手のひらや足の裏に汗をかきやすい人だと言われています。

そのため、こまめに汗を拭いたりするなど、地道な努力が必要です。

 

また乾燥しすぎてもいけないので、保湿をしっかりと行わなければいけません。

ステロイド剤を使用して、症状を抑えながら、汗疱の予防をしっかりすることが大切なのです。

 

汗疱の治療法

汗疱を治すために、〇〇をしたら良いということはありますが、〇〇をしたから完治したということはありません。

汗疱が治っても、汗疱ができやすい条件が整えば、いつでも再発する可能性があるからです。

そのため、ステロイド剤なので痒みを抑えるほか、体質改善や生活環境を見直して、汗疱ができにくい身体作りをするようにしましょう。薬任せにしてはいけません。

 

汗疱は春や夏に起こりやすい

汗疱状湿疹は、子どもから大人まで誰でもなりえる皮膚病です。

特に気温が上がり汗をかきやすい春や夏頃によく見られます。

暑い時に、汗をかかないというのは、無理な話なので、汗をかきやすい時期は、いつでも汗を拭きとれるように、ハンカチやタオルなどを持ち歩くようにしましょう。

こまめに汗を拭くことで、汗疱の予防につながります。

水で洗うことも効果的ですが、洗った後、肌は乾燥していくので、これもやはり汗疱の原因になってしまいます。

水で洗った場合は、保湿をするのを忘れないようにしましょう。

汗疱の予防法

汗疱の治療に大切なのは、症状を抑えるためのステロイド剤を塗布することではなく、汗疱が出来ないように予防することが大切なのです。

皮膚科から処方されたステロイド剤は、症状を抑えるのが目的です。治すことが目的ではないのです。

 

汗疱ができやすい人は、手のひらや足の裏に汗をかきやすい人だと説明しましたが、人は暑いから汗をかくというわけではありません。

金属性アレルギーやストレスなどで汗を大量に分泌する働きが活性化することもあります。

または、食器用洗剤や有機溶媒などを使用して、皮膚が乾燥して、汗疱が出来てしまったりすることもあります。

 

手のひらや足の裏に、プツプツとした小さな水疱が出来始めたら、自分がどういう生活を送っているのか、見直してみましょう。

小さな水疱が出ている間は、汗疱の場合ほとんど痒みがありません。

症状がないため、その時点で皮膚科に行ってリンデロンなどのステロイド剤を処方されても、痒みなどの症状がありませんから、使用する必要はありません。

痒みが出始めたら、使用するようにしましょう。

痒みが出てから、皮膚科に行ってもいいでしょうが、早期治療が大切なので、痒みが出る前に皮膚科に行くことをおすすめします。

まとめ

いかがでしたか?

辛い症状の汗疱ですが、リンデロンなどのステロイド剤などで、幾分症状を和らげることが出来ます。

しかし、これは根本治療ではないので、汗疱が出来ないように予防することを心掛けましょう。