汗疱とは、足の裏などに粟粒ほどの大きさの水疱がたくさん生じたのち、次第に小さな水疱が合わさり、大きな水疱になると、破れてジュクジュクし、痒みを伴う皮膚の湿疹です。

繰り返し起こる皮膚性湿疹ですが、この汗疱に効く薬はあるのでしょうか。

そこで、今回は、汗疱に効く薬についてご紹介します。

皮膚科に行く

足に小さなプツプツが出来ると、水虫になったのではないかと疑います。

汗疱はあまり耳にしことがないでしょうし、足の裏のプツプツ=水虫と連想してしまうのではないでしょうか。

水虫になってしまったからと、水虫用の薬を塗布してしまってはいけません。

水虫と汗疱では症状が良く似ていても、原因が根本的に違うため、汗疱になったときに水虫の薬を塗布してしまうと、悪化してしまう恐れがあります。

水虫と汗疱の違いは、「菌」があるか否かです。

水虫の原因は「菌」で汗疱の原因は「菌」でありません。そのため、汗疱は他人に移ることはありません。

早期治療のためにも、自己判断をせず、皮膚科に行って医師に判断してもらいましょう。

 

 

 

一般的な治療は「ステロイド」

汗疱や異性湿疹の一般的な治療は、「ステロイド剤」の塗布になります。

ステロイドとは、糖質コルチコイドと呼ばれる成分を科学的に合成した薬です。

通常、糖質コルチコイドは体内の「副腎」とう臓器で作られる、副腎皮質ホルモンの1つです。

つまり、薬として、処方されるステロイドは、その副腎皮質ホルモンの成分に似た、合成の副腎皮質ホルモンなのです。

 

効果としては、痒みを止めたり、炎症を沈めたりすることができます。

ステロイド剤は、副作用が心配だという人がよくいますが、正しい使い方をすれば、問題はありません。

皮膚科で治療薬として処方されるステロイド剤の強さにはレベルがあります。

部位、湿疹の重症度によって、使い分けなければいけません。

医師から処方してもらったステロイド剤を使用して、皮膚が荒れたり、肌に合わない場合は、ただちに使用を禁止しなければいけませんが、そうでないのであれば、処方されたステロイド剤を説明書通り使用して、問題はないでしょう。

 

しかし、ステロイド剤を使用しすぎると、効き目が弱まったりするため、長期間使用することはやめましょう。

皮膚のあれがひどすぎる時や、どうしても痒みなどを抑えたい時に使用するのが良いでしょう。

 

 

ステロイドの種類

ステロイド剤は、皮膚科でしか処方される薬ではありません。市販薬でもステロイド剤はあります。

しかし、一般的には、処方されるもののほうが、レベルが高いので即効性はあります。

 

マイザー軟膏

ほとんどの皮膚科で処方されるステロイド剤です。

比較的レベルの高いステロイド剤のため、同じ部位への連続使用は、1週間以内・しておいたほうがよいでしょう。

 

ネリゾナ軟膏

汗疱にかかった後に、このネリゾナ軟膏を使用すると、翌日には皮膚がきれいになり始め、数日で一旦は完治しますが、汗疱は繰り返し再発するため、根気よく使い続けることが必要です。

 

アンテベート軟膏

このアンテベート軟膏も、多くの皮膚科で処方されることが多いです。

他の軟膏に比べて、べたつきがなく、薬が皮膚へ浸透しやすいのが特徴です。

ステロイドのレベル的には、非常に強力なステロイド軟膏です。

 

これらのステロイド剤は、非常に強力なため、連続して使用する期間は大人なら1週間以内、子どもなら数回以内でとどめておきましょう。

 

フルコートF

市販薬のステロイドです。市販薬の中でも、もっとも効果が高いと言われる薬です。

効果が高いということは、強力なステロイド剤ということです。

同じ部位への連続使用は、1週間以内にしておいたほうがよいでしょう。

 

コーフル

市販薬であり、また非ステロイド軟膏であるため、赤ちゃんにも使用できるほど、肌に優しい軟膏です。

このコーフルは効能に「汗疱」と記載されているほど、汗疱専用の市販薬と言えます。

汗疱が繰り返しできる人は、保湿剤として使用している人が多いとのことです。

ステロイド剤の副作用が怖いと思っている人は、まずこのコーフルを使用してみてはいかがでしょうか。

 

亜鉛華軟膏

酸化亜鉛を含んだ軟膏です。

血管や組織を収縮させることで、患部を乾燥させる効果を持つ薬です。

患部から出るジュクジュクした液体を吸収することで、皮膚を乾燥状態に持っていきます。

亜鉛華軟膏を塗布し、包帯で巻いておけば、少しずつ症状が和らいでいくことでしょう。

 

軟膏以外にも薬はある

汗疱の薬は、軟膏だけとは限りません。

繰り返し汗疱が発症する人は、アレルギー内服薬の使用を考えてみましょう。

 

汗疱が原因で皮膚科に行くと、ほとんどの場合ステロイド剤が処方されますが、痒み強い場合などの時は、抗アレルギー薬を処方されることもあるのです。

外洋薬は皮膚の奥まで浸透することはないため、皮膚深層の炎症をおさえるために、抗アレルギー内服薬を処方されるのです。

全ての皮膚科の医師が、アレルギー内服薬を処方するわけではないので、この抗アレルギー内服薬を処方して欲しい場合は、医師に確認をしてみましょう。

 

ビオチン療法

薬ではありませんが、最近注目されている治療法をご紹介しましょう。

残念なことに、汗疱を完全に根治させる薬はありません。ステロイド剤は、あくまでも症状を抑えるだけです。

ステロイド剤を使用して、良くなっても、また再発してしまうのが、汗疱なのです。

 

そこで、汗疱の対策方法として、として、最近注目されているのが「ビオチン」治療です。

ビオチンは、皮膚のビタミンと言われ、皮膚を作るときに使われるビタミンBの一種です。

ビオチンは体内でも製造されており、腸内にいますが、同じく腸内にいる悪玉菌は、このビオチンをエサにしています。

悪玉菌が腸内で増え続けてビオチンが減ってしまうと、ビオチン欠乏症になり、肌に影響が出て湿疹が出やすくなると言われています。

 

つまり、ビオチンをより多く摂取して、体内の取り入れることによって、減ってしまったビオチンを増やし、腸内を整え、体質を変えていくという対策法です。

 

ビオチンは水溶性のため、体内にとどまることはありません。

そのため、常に摂取し続けなければいけません。

これが面倒でもありますが、汗疱が繰り返し発症する人は、薬で治すと同時に、体質改善をおこなう必要があるので、ビオチン療法はとても効果的な治療だと思います。

 

ビオチンは普段の食品からでも摂取することができます。

ビオチンを多く含む食材は、レバー、豆、卵黄、酵母、まいわしなどの魚類ですが、ただビオチンを摂取することだけに、とらわれてしまってはいけません。

なぜなら、ビオチンを摂取しても、腸内で増えた悪玉菌のエサになってしまうからです。

そのため、これを避けるために、整腸剤も同時に服用して、腸内環境を整える必要があります。

 

しかし、市販薬の整腸剤では、せっかく摂取したビオチンを食べてしまう成分が含まれている場合があるのでお勧めできません。

ビオチン療法をしたいのであれば、病院で調合されたものを使用しましょう。

一般的に、ビオチンを病院で調合されると、ビオチン、ミヤサリン、ビタミンCなどが含まれます。

ミヤサリンというものが、整腸剤になります。

まとめ

いかがでしたか?汗疱ができる原因がはっきりしていませんし、完治できる方法も確立されていません。

そのため、汗疱を治すための薬は、ほとんどないのです。

ステロイド剤は症状を和らげ、一旦落ち着かせる薬です。

ステロイド剤は、さまざまな種類があるので、自分に合ったステロイド剤を探していきましょう。