パソコンを使っていると、手汗がでてパソコンがベタベタになったとか、営業マンが取引先の客と会って、汗が止まらなくて気まずい思いをした、握手を求められたときに手がベタベタで握手できなかったなど、汗かきだで悩む男性が少なくないようです。男性の汗かきを治す方法でベタベタ汗を改善しましょう。

男性の汗かきとは?

男性は女性より汗かきだということがわかっています。その違いがなぜなのか、汗かきの仕組みや臭いの原因が何かということを紹介します。

発汗の仕組み

生まれた時は500万個くらいの汗腺を持っていて、日本人の働いている汗腺は230万個くらいあると言われています。他の汗腺は休眠状態で働いていません。汗腺数は3歳くらいまでで決まるので、それ以前にいつも快適な汗をかきにくい生活をしていると、子供の汗腺が発達せずに大人になってから汗腺の働きが鈍い人になってしまいます。

一般に、人は気温が高いときやスポーツ後や発熱時に体が熱くなると、脳の視床下部から汗を出して体温を下げるようにという命令が下ります。すると、自律神経の交感神経が働いて汗を出すためにアセチルコリンという神経伝達物質をだします。アセチルコリンは汗腺の受容体にくっつくことで、汗腺は血液中の血漿から汗を作り出して汗腺から汗をだします。

男性が汗かきのピークは25歳~45歳

汗腺はエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、エクリン腺はほぼ全身に500万個ほどあり、体温が上がると汗をだして下げる温熱性発汗を行っています。アポクリン腺はエクリン腺のような温熱性発汗ではなく異性を引き付けるためのフェロモンの役割があるので、わきと陰部にある汗腺です。アポクリン腺から出る汗は皮膚にある雑菌と一緒になり臭いがあります。

思春期を迎えるころから男性の方が女性より汗かきになります。それは、思春期以降になると、女性は女性ホルモンのエストロゲンが分泌されるようになるため、男性より汗をかかなくなります。井上芳光氏の発汗学によると、男性が汗をかくピークは25歳~45歳で、その後、徐々に汗腺機能が衰え汗が少なくなると言われています。

加齢とともに汗腺機能が衰えますが、発汗機能が衰えたために一部分から以上に汗が出るということがあります。

いい汗と悪い汗

エクリン腺から出る汗はにおいがなく、さらさらしていて99%が水分だと言われています。これは、汗腺が血漿成分のミネラルや塩分などの体に必要な成分はろ過して汗として出すからです。汗はそのままにしておくと雑菌がついて臭いが発生します。このさらさら汗はいい汗といわれている汗です。

しかし、エアコンの生活や汗の機能が低下すると、ミネラルや塩分がうまくろ過されず、水分とともに汗となって出てきます。そのため、汗はベタベタしています。この汗は悪い汗で、蒸発しにくいので体温も下がりにくいです。すると、雑菌が繁殖しやすい環境を作ることになり、体温調節もしにくくなります。

また、エクリン腺から出るベタベタ汗はすぐに臭いが発生します。加齢とともに加齢臭がするのは、エクリン腺から出るベタベタ汗が原因の一つです。若くても快適生活ばかり送って運動不足が続くとベタベタ汗が出るので注意が必要です。

男性の汗かきを治す方法としてしたいこと

顔汗やわき汗は男性は営業で外に出る人は困りますね。手汗は調理師さんやパソコン作業をする人、細かい手作業をする人は困ります。足汗は臭いにおいのもとです。そんな悩みを改善しましょう。

汗腺トレーニングで男性の汗かきを改善

汗かきを治すには汗腺からいい汗をたくさんかいて、休眠状態にある汗腺を眠りから覚ますことです。そのために汗腺トレーニングを行いましょう。

汗腺トレーニングのやり方

  1. 湯船に42~44℃の熱めのお湯をひざ下が付くくらいの高さまで張る
  2. ひじから下と膝から下を15分ほどつけ手足浴をする
  3. 5分ほどすると汗がたくさんですので出てきた汗はうちわなどで自然乾燥をする
  4. 湯船に水かぬるま湯をはり、38℃のぬるめのお湯でリラックスしてつかる
  5. 入浴後、水分をふき取り、体の水分を自然乾燥する
  6. 水分補給をする

たくさんの汗が出るので、汗腺トレーニングの前にも水分補給をして、脱水にならないように気を付けましょう。汗腺トレーニングを続けることで汗腺の機能が徐々に高くなり、さらさら汗が出るようになります。

男性の肥満は汗かきのもと、治す方法は運動

太っているとエネルギーをたくさん使うので、汗を大量にかいている人をみかけます。肥満になると、運動不足になりがちで、汗腺の機能も衰えがちです。汗をかくからエアコンが離せず、ますます悪循環になってしまいます。そのように、メタボになると悪い汗がでて臭いが強くなります。

いい汗をかくと、体の毒素をデトックスし、免疫力を高めて血液がさらさらになるので、生活習慣病の予防にもなります。まず、スクワットや腕立て伏せ、腹筋などの筋トレやウオーキングなどから始めましょう。

無酸素運動の筋トレと有酸素運動のウオーキングングを組み合わせることでエネルギーをよく使うので汗をたくさん出します。適度な運動をすることで、汗腺機能が活発になり、エネルギーをよく使うのでメタボ解消にもなります。

第二の皮膚の衣類で改善

汗は第一の皮膚で、汗腺がたくさんあるので汗が出て、それを第二の皮膚である衣類でカバーします。汗の消臭効果があるインナーや吸湿速乾性のあるインナーがメーカーから発売されています。靴下は2日間履いても臭いがしないという画期的なもののです。

男性用わき汗パットつきのインナーやパットのみも通販で購入できます。いろいろなメーカーから発売されているので、わき汗が多い人はありがたいインナーです。

欧米中心の生活から和食中心の食生活へ見直し

 

汗が多い人は肉中心の生活や脂肪分が多い食事をしていることが多いです。スポーツをバリバリとしている人には、必要ですが、肥満で運動不足の人は汗かきを少なくするためにも欧米の食生活から和食中心の食生活を取り入れることが、汗かきを減らし、嫌なにおいをも減らします。

大豆イソフラボンは女性ホルモンと構造が似ているため、汗を抑制する働きがあります。味噌汁や納豆、豆腐など、毎日摂りたいですね。あまり辛いものを食べると発汗を促します。コーヒーやたばこも汗かきの原因の一つといわれています。食生活を見直すことで、汗かきを改善することができます。

だらだら汗が治らない!皮膚科受診で汗かきを治す方法

 

あまりにも汗がでて日常生活に支障がある場合は多汗症かもしれません。皮膚科や専門外来、美容外科などで異常な汗かきを改善しましょう。

塩化アルミニウムの塗り薬

多汗症のい人には、最初は塩化アルミニウムの水溶液やアルコール溶液が一般的に用いられることが多いです。塩化アルミニウムで、皮膚炎を起こした場合はステロイドが処方されることもあります。効果が出るまで、2~3週間かかります。中止すると、多汗症が再発することがあります。

イオントフォレ―シス

手の平、足の裏の多汗に使われている治療法です。手や足に電気を流して汗を出にくくする方法です。顔汗やわき汗には使われません。

飲み薬

多汗症の人の内服薬として抗コリン剤が処方されています。抗コリン剤でも保険がきく抗コリン剤と保険がきかない抗コリン剤があります。

注射

ボツリヌス毒素を汗がたくさん出る部位に注射することで汗を抑えます。ボツリヌス毒素は発汗の指令をするアセチルコリンを抑制する働きがあります。

手術

手の平の多汗症の場合は胸部の交感神経節を内視鏡で切るので、手の平の汗が出なくなります。ただ、代償発汗として背中や胸などの他の部位から汗が大量に出てきます。

最後に

 

男性の汗かきの人は多く、それは自然なことで体熱を取るために大切な体の働きです。ただ、汗かき=不潔というイメージがあり、嫌なにおいを発するとなおさらです。男性の嫌なにおいのする汗かきは、汗腺機能が衰えていることからくる場合があるので、汗腺トレーニングや適度な運動を行うことで休眠状態の汗腺を活発にして、いい汗をたくさんかきましょう。吸湿消臭のインナーをつけると、汗対策としてバッチリです。ただ、異常な汗かきは病気からきている場合もあるので医療機関を受診して、治療することをおすすめします。