肌にプツプツとして痒みを帯びているとき、汗疹なのか湿疹なのかを判断するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
しかし、間違った判断をして処置を間違えてしまうと、治るはずのものも余計に悪化してしまう場合も多くあります。
汗疹と湿疹の違いって何?
それでは、痒くて辛い汗疹と湿疹の違いについて解説していきましょう。
汗疹(あせも)とは
汗疹とは、大量に汗をかいた後に皮膚に現れる細かい水ぶくれや発疹が現れる皮膚疾患のことです。
特に、汗をかきやすい夏に多く発症し、子供に発症しやすい皮膚疾患です。
また、高温の環境下で作業をしていたり、高熱を出して汗をかいている場合も発症しやすくなります。
一言で汗疹といっても、汗疹は「水晶様汗疹」「紅色汗疹」「深在性汗疹」の3種類に分けることが出来ます。
水晶様汗疹
水晶様汗疹は、小さな白っぽい水ぶくれが出来る汗疹のことです。
紅色汗疹
紅色汗疹は、赤い丘疹が生じて痒みや軽い痛みを伴う汗疹のことです。
深在性汗疹
深在性汗疹は、皮膚が部分的に盛り上がってその部分は汗がかけなくってしまう汗疹のことです。
深在性汗疹は亜熱帯地方に多く、日本ではほとんど見られない汗疹の種類です。
湿疹とは
湿疹は赤くて痒みのある発疹を引き起こしたり、皮膚表面が粗くなったり、皮膚炎とほぼ同じ疾患のことです。
乳幼児からお年寄りまで様々な年代に発症し、体の特定の場所だけに出来たり、全身のどこにでも出来たりします。
湿疹の原因は、分かる場合も分からない場合もあり、状況は様々です。
症状も皮膚の乾燥や痒みなどの軽度のものから、皮膚をかきむしって出血が見られる重度のものまで様々ですが、引っ掻いたり擦ったりしていると、その部分の皮膚が厚く硬くなってしまう共通点があります。
湿疹の一般的な症状
急性期には、皮膚に痒みを伴った赤い斑(紅斑)が現れます。
さらに、細かい水ぶくれ(小水疱)やプツプツとした盛り上がり(丘疹)、膿の溜まってしまった状態(膿疱)などの様々な症状が同時に、または時期が異なって見られます。
湿疹の症状も様々あり、症状が繰り返すと慢性化して皮膚の厚みが増して硬くなり、皮膚の表面が荒くなってしまいます。
汗疹と湿疹の原因の違いについて
汗疹の原因は「汗」ですが、湿疹の原因は様々です。
ここでは、汗疹と湿疹の原因について、それぞれ解説していきます。
汗疹の原因とは
汗疹の原因は、多量に汗をかいて汗管が詰まり、汗が皮膚の外に出られなくなって皮膚内の組織に漏れ出ることです。
そして、水ぶくれが出来たり、炎症を起こして痒くなったり、赤くてかゆいブツブツが出来たりしてしまいます。
湿疹の原因とは
湿疹の原因となる刺激には、紫外線や寒冷による刺激(刺激性)や化学物質(接触性)、飲食物や薬剤、体質、擦れたり引っ掻いたりと様々です。
これらの刺激が全ての人にとって湿疹の原因となりわけではなりませんが、今までは何でもなかったのに、ある日突然に湿疹の原因となってしまうこともあります。
汗疹と湿疹の治療法の違いについて
汗疹と湿疹の原因が違えば、治療法も異なります。
誤った治療法を行うと、かえって症状が悪化してしまうということも十分にあり得ます。
それでは、汗疹と湿疹の治療法の違いについてみていきましょう。
汗疹の治療法とは
汗疹には、「水晶様汗疹」「紅色汗疹」「深在性汗疹」の3種類あることを既にご紹介しました。
通常、深在性汗疹は日本では見られないため、ここでは水晶様汗疹と紅色汗疹の治療について解説します。
水晶様汗疹は、特別な治療を行わずとも2~3日で症状が治まります。
紅色汗疹の治療にはステロイド外用薬が使用され、細菌感染が加わっている場合、抗生剤を内服することもあります。
汗疹の再発予防には、汗をかいたらこまめに汗を拭きとるように心がけたり、汗をかいた後はシャワーを浴びたりすることが非常に効果的です。
湿疹の治療法とは
湿疹の治療の場合、まず痒みや炎症を抑える塗り薬をつけて様子をみます。
一般的に、湿疹は皮膚を掻けば掻くほど痒みが増してしまいます。
痒いからと掻いてしまうと、さらに悪化して感染症にかかるリスクも高くなりますので、とにかく痒くても皮膚を掻かないことが重要です。
日常生活では、皮膚を清潔に保つことが大切です。
また、せっけんは低刺激性のものを少量だけ使うようにしましょう。
皮膚に痒みを伴った紅斑が現れる急性期には、入浴を避けたほうが良い場合もあります。
湿疹があるときに大量の汗をかいてしまうと、痒みが増すなど症状の悪化を招く恐れがあります。
特に、夏の時期の湿疹には、発汗にも注意が必要です。
様子を見ても痒みや炎症が改善されない場合は、速やかに皮膚科を受診しましょう。
湿疹の原因を突き止めたうえで、正しい治療を行う必要があります。
汗疹は予防出来る?
湿疹は原因が不明であることが多いので、普段から「アレルギー」に対して気を付けるようにしたり、普段からお医者さんと相談するのが1番です。
汗疹の場合は、汗が原因であるということがハッキリとわかっているので、汗疹の予防には「汗を溜めこまない」ということが重要になります。
あせもが2週間良くならない場合は、何かしらの感染症などが起こってしまっている可能性も考えられます。
その場合は、速やかに皮膚科を受診してください。
汗をかいたらすぐにふきとり、肌を清潔に保ちましょう
汗疹予防には、汗をかいたらシャワーを浴びたり、すぐにふきとることが大切です。
汗をふくときは、乾いたタオルよりも水で濡らしたタオルを使うほうが、汗の成分をよくふきとれます。
皮膚のバリア機能を守るため、ふきとる際はゴシゴシこすらずに押さえるようにしてふいてください。
洋服は、通気性・吸湿性の良いものを選びましょう
汗疹を予防するためには、汗をかいたら着替えることが大切です。
しかし、仕事中などは着替えられない場面も多くあることでしょう。
最近は、吸汗速乾素材を使用した下着も数多く販売されているので、濡れたままの状態が続かないように気をつけてください。
エアコンを使用して、高温多湿の環境を避けましょう
風通しの良い、涼しい環境にいれば汗をかきませんので、汗疹ができることはまずありません。
エアコンを適度に使い、涼しい環境を心がけましょう。
湿度は50%を目安にしてください。
お風呂やシャワーはぬるめに設定し、石鹸を使いすぎないようにしましょう
汗をかいた後は、お風呂やシャワーで汗を洗い流すことが大切です。
しかし、石鹸をたっぷり使ってナイロンタオルでゴシゴシと体を洗うのは、逆効果になってしまいます。
皮膚のバリア機能が弱まって炎症を起こしやすくなってしまいます。
また、余計に汗をかいてしまうので、熱いお湯につかったり熱いシャワーを浴びるのも避けてください。
汗疹予防には、ぬるめのお湯で汗を流しましょう。
ベビーパウダーを活用しましょう
赤ちゃんにはよく使われるベビーパウダーは、大人のあせも予防にも効果があります。
ベビーパウダーには汗を吸着して皮膚を乾燥させる働きがあります。
お風呂あがりなど、清潔な状態の皮膚にベビーパウダーを軽くはたいておくといいでしょう。
ただし、すでに汗疹ができてしまったときは、汗の出口をふさぐ可能性もあります。
汗疹が出来てしまっている部分へのベビーパウダーの使用は避けてくださいね。
終わりに
ここまで、汗疹と湿疹の原因や治療法の違い、汗疹の予防方法について解説してきました。
汗疹と湿疹は見た目で判断しづらい部分がありますが、今回解説したことを参考にしてそれぞれに合った対処をしてください。
どうしても自分で判断が難しいという場合や不安な時は、速やかに皮膚科を受診してくださいね。