汗は体温を調節する役割がありますが、汗かきの人は少しのことでシャツや髪、手足がぐっしょりと濡れてしまいます。そのため、汗かきの人は、日常生活の様々な場面で支障が出てきます。汗を抑える薬があるので紹介します。

汗を抑える薬ってあるの?

汗を抑える薬には、医師が処方している外用薬、内服薬、漢方薬があります。市販の薬では海外の輸入の薬ならありますが、病院で処方されていないので、危険を伴います。病院によって出している薬が異なりますが、代表的な薬をみてみましょう。

塩化アルミニウム外用薬

一般にアルミニウムコールか水溶液で20~30%に薄めた塩化アルミニウム液を塗って汗を抑える外用薬が出されているようです。塩化アルミニウムによって、汗腺の汗口に炎症を起こすことで、汗を抑えることができます。効果には個人差があり、塩化アルミニウムによって、湿疹やかゆみなどの副作用が起きることもあります。

寝る前には塩化アルミニウム水溶液をしみこませた布手袋をはめ、その上にゴム手袋をして就寝し朝に洗い流します。皮膚の弱いところへ塗るときは、目立たない所で試してから塗った方がいいでしょう。継続して塗らないと効果が持続しないので、ある一定の期間は継続が必要です。

ただ、長期間の継続によって皮膚に炎症を起こし、トラブルのもとになることがあるので、医師の指示のもとに使用することが望ましいです。塩化アルミニウム液は保険が適用になるので、受診した方が負担も少なくその人に合った処方をしてもらえるので安心です。

内服薬の抗コリン剤

内服薬には、抗コリン薬であるプロ・バンサインが保険適用でよく処方されているようです。汗を出るときには、脳の視床下部から体温を下げるように指令が出ると、それが交感神経に伝わります。すると、アセチルコリンという物質が分泌され、汗腺から汗を出します。

アセチルコリンを抑制する働きをする薬が抗コリン薬です。ただ、コリン薬は身体全体の汗を止め、他の分泌液もとめるため、副作用として口やのどが渇いたり、便秘、尿が出にくいなどがあります。汗が出ないので、熱中症にかかりやすくなります。

また、薬を服用すると眠くなるので、車の運転には注意が必要です。コリン剤で海外輸入品は購入できますが、副作用があるので医師の処方なしに服用することには危険がともないます。抗コリン剤以外に精神的な要因から汗が出ることもあるので、緊張を和らげる安定剤や自律神経を静める薬が処方されることもあります。

漢方薬

医師によっては、症状によって汗を抑制する漢方薬を出す場合もあります。漢方薬で体質に応じて出されている薬を調べてみました。

ホルモンバランスが乱れた時の汗

●加味逍遙散(かみしょうようさん)

体力がなく疲れやすい人で精神的にイライラがある人。ホルモンバランスを整え、ホットフラッシュなどの更年期障害が原因の汗に効果があります。溜まっている気を全身にめぐらせて熱をとります。

●女神散(にょしんさん)

木や血、水のバランスを整える働きをして、のぼせとかめまいがある人にむいています。

●黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

のぼせることで頭に汗をかく人は、黄連解毒湯で体を冷やしてのぼせた熱を取ります。イライラする人やカーッと熱くなり汗が出る人にむいています。

自律神経ん乱れやストレスや緊張などの精神的なことからくる汗

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

竜骨や牡蛎には気持ちを鎮める作用があり、比較的体力がある人でストレスや緊張からくる汗をかく場合に効果があります。

柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)

女性ホルモンの乱れや自律神経の乱れを沈めて神経過敏な症状を緩和します。虚弱体質の人、体力が落ちている人にむいています。

黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)

緊張状態にあるとか、疲れやすく胃腸が弱い人、寝汗が多い人に、身体が元気になり汗が調節されます。

肥満の人の汗かき

防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)

ぽっちゃり肥満の人で、身体が重くむくみがある人。のどが渇かなくても水分をよくとってむくみがある人は、体内の水分を排出してむくみをとります。

汗を抑制する医薬部外品なら市販で購入できる

汗を抑制する薬は日本で市販で購入することは難しいですが、塩化アルミニウムが配合された医薬部外品なら購入することができます。

塩化アルミニウムを含んでいる市販で購入できる医薬部外品

日邦薬品工業「オドレミン25ml」(塩化アルミニウム濃度13%)

塩化アルミニウムが15%配合されているので、汗口に炎症を与えて、汗を出にくくします。一般のドラッグストアでは扱われず、取扱店のみで扱っています。入浴後に塗ることがすすめられています。使い方は汗が気になる部分に数滴落として指に塗り、その後はしっかりと乾燥させます。

塩化アルミニウムはワキや手足の汗に向いています。ワキや肌の弱い人は精製水で薄めて使用する方がかぶれにくいです。

作用製薬「テノール液30ml」(塩化アルミニウム液濃度3.9%)

塩化アルミニウムが3.9%なので、かぶれやすい人は濃度が低いので安心ですが、その反面、制汗効果が薄くなります。ロールオンタイプなので肌に転がして塗り、定量を使うことができます。液だれすることなく、すぐに乾き消臭効果もあります。

デンマーク製のワキガ薬「デトランスα」(塩化アルミニウム濃度25%)

市販では売り出されておらず通販のみです。濃度が高いので、ワキ汗の制汗効果は高いですが、肌が弱く塩化アルミニウムによる湿疹やかぶれが出る人は塩化アルミニウムを使っていない制汗剤をおすすめします。肌に刺激のある物質を吸収し、副作用を抑える成分が配合されています。

フェノールスルホン酸亜鉛を使用している医薬部外品

引用元:http://simonecreative.com/

薬用「サラフェプラス」

サラフェプラスはフェノールスルホン酸亜鉛を使用しているので、塩化アルミニウムのように炎症を起こすのではなく、汗に吸着して流れにくくする作用があります。そのため、肌が弱い顔や敏感肌の人にも使用できる制汗剤です。顔汗がよく出る人は塩化アルミニウムが塗れない人でもサラフェプラスはOKです。

直ぐに効果が出ない人もいますが、5日間ほど使用すると制汗効果が出てくる人が多いです。制汗だけでなく、美容成分がたくさん配合されていて、浸透型ナノセラミドが角質層まで美容成分をしっかりと届けます。

顔にも使えるので、洗顔後にサラフェプラスを塗ってメイクをすると、ほぼ一日中サラサラとした肌をキープできます。メイク直しのときは、汚れを落としてメイクの上からサラフェプラスを塗って、その後ファンデーションをのせるだけで制汗作用が持続します。

運動で全身から汗を出すことも大事

運動不足になると、汗腺の機能を低めるため、顔だけから汗ができることがあります。その場合は、休んでいる汗腺を活発にして、全身から汗が出るようにすることが大事です。適度な有酸素運動は、汗腺を活発にして眠っている汗腺も動き出します。

全身から汗が出ることで、ダラダラと流れていた顔汗が少なくなります。それだけでなく、汗腺機能が弱ると、汗が出るときに吸収されるはずのミネラルが吸収されずに汗に残ったままになります。汗は99%の水分と1%の塩分や尿素などの成分でできています。

本来は無臭でサラサラしている汗ですが、ミネラルが多く残っているので、べたべたした汗になります。運動をすることで汗腺機能が活発になると、ベタベタ汗ではなく、サラサラ汗が出るようになります。30分以上のウオーキングなどの有酸素運動で汗をいっぱいにかきましょう。

最後に

汗をとめる薬では、外用薬は塩化アルミニウム溶液、内服薬は抗コリン薬のプロバンサインが病院で処方されることが多い薬です。内服薬は市販では売っていませんが、塩化アルミニウムを配合している医薬部外品の制汗剤は市販で購入できます。塩化アルミニウム配合の制汗剤はワキや手足の汗には有効ですが、肌の弱い顔には向いていません。フェノールスルホン酸亜鉛を配合した制汗剤「サラフェプラスラス」は顔にも安心して使うことができる制汗剤です。汗が異常なほどたくさん出る人は多汗症かもしれないので、皮膚科を受診をして検査をうけましょう。