汗をかきやすい季節や季節の変わり目になると現れる「汗疱」。

正式には「汗疱状湿疹」と呼ばれますが、この記事では「汗疱」と表記を統一します。

汗疱は水虫と間違われ安いのですが、全く別の病気です。

手の指や足の指、足の裏などに小さい水ぶくれが出来たり、皮がむけてくる病気です。

かゆみを伴う場合が多く、ひどくなると強い痛みを感じます。

足の裏に汗疱が出来てしまう原因とは?

それでは、汗疱が発症するメカニズムや原因を解説していきます。

汗疱のメカニズムについて

まず、汗は汗腺で作られます。

汗腺で作られた汗は、汗管を通り、汗として皮膚の表面に分泌されます。

その際に汗をたくさんかいてしまうと、皮膚の表面にある角質層に汗の水分が溜まってしまう、角質層がふやけてしまいます。

角質層がふやけると汗の出口が塞がってしまい、汗が外に出るが出来ず、皮膚の内部に溜まってしまいます。

外に出られなくなってしまった汗は、かゆみを引き起こして角質層を傷つけ、肌荒れを起こしてしまいます。

なぜ足の裏に汗疱が出来やすいのか

汗疱の出来やすい場所として、足の裏や手のひら、手足の指などが挙げられます。

まず、手足の汗をかきやすい人は汗疱が発症しやすくなってしまいます。

特に、普段は靴を一日中履いているという人も多いのではないでしょうか。

足に靴下を履いていても、一日中靴を履いていると足が蒸れてしまいます。

蒸れると足の皮膚が常にふやけている状態となって、汗がきちんと皮膚の外側に出ることが出来ないために、足の裏には汗疱が出来やすくなってしまいます。

足の裏に汗疱が出来やすくなるもうひとつの原因として、ほかの部分の皮膚に比べて手足の皮膚が分厚くて硬いということがあります。

歴史をさかのぼっていくと、人間の祖先は4足歩行でした。

そのため、体重を支えるために手足の皮膚の角質層が進化の過程で厚くなったのです。

汗疱が出来てしまった時にすべきこと

まず、長時間靴を履き続けたり、足の裏が湿ってしまう状況をなるべく避けましょう。

もし可能であれば、職場では靴をサンダルに履き替えたり、綿の靴下や5本指ソックスを選ぶのもオススメです。

入浴をする時には足をよく洗って、汗をしっかりと落としましょう。

洗った後は足の裏や指の間をしっかりと乾燥させることがポイントです。

汗疱の治療方法とは

まず、汗疱は水虫との区別が非常に難しいため、かゆみの伴う水泡が現れた場合は皮膚科を受診するのが良いでしょう。

通常、汗疱の治療は外用薬で治療をすることがほとんどです。

しかし、汗疱の原因は皮膚の深いところにあるため、塗り薬などの外用薬のみの治療ではなかなか治りにくい現実があります。

そのため、皮膚科では個人の症状に合わせて塗り薬や内服薬、光線療法を組み合わせて治療を行います。

また、汗疱の症状が悪化してしまっている場合には、ステロイドが処方される場合もあります。

汗疱は皮がむけてきたあとに、洗剤などによる手荒れ(主婦湿疹)を併発する場合があります。

汗疱の治療中は処方された薬の用法を正しく守り、家事の際にはゴム手袋も併せて使用することがオススメです。

忙しい現代社会、足の裏の汗疱に効く市販薬はある?

通常、汗疱の治療には速やかに皮膚科を受診することが望ましいのですが、「仕事が忙しくて皮膚科をなかなか受診することが出来ない」という方も多いのではないのでしょうか。

そこで、汗疱への効果が期待できる市販薬を紹介していきます。

コーフルS

引用:www.ohkiseiyaku.com/

「コーフルS」は、森下仁丹から発売されている非ステロイド性皮膚疾患治療薬(第3種医薬品)です。

元々は、自宅で床ずれのケアが出来る商品として販売されているのですが、効果・効能の欄に汗疱という記載があります。

酸化亜鉛とアクリノールという2種類の有効成分が配合されており、酸化亜鉛で炎症を抑えて、アクリノールで殺菌・消毒を行います。

フルコートf

引用:www.biccamera.com/

「フルコートf」は、田辺三菱製薬から発売されている合成副腎皮質ホルモン・抗生物質配合の外用皮用薬(第2種類医薬品)です。

フルコートfには、「ストロング」ランクの外用ステロイド(フルオシノロンアセトニド)が配合されています。

フルオシノロンの優れた抗炎症作用で炎症の悪化サイクルを断ちます。

外用ステロイドの効果の強さは、①ウィーク②マイルド③ストロング④ベリーストロング⑤ストロンゲストの5段階があります。

OTC医薬品(一般用医薬品)では、ウィーク・マイルド・ストロングの3種類が現在市販されており、フルコートfには「ストロング」のフルオシノロンが配合されています。

ステロイド剤の使い方には、「ステップアップ療法」と「ステップダウン療法」の2種類があります。

「ステロイドは副作用が怖い」というイメージから、効果の弱いランクのものから使って、効果がみられなければ徐々に強いランクのものに変えていく方法をステップアップ療法と呼びます。

反対に、ステップダウン療法は効果が充分に得られる強さのステロイドから使用し、症状が治まるにつれて徐々にステロイドのランクを下げていく方法です。

ステップダウン療法は短時間で治癒することを目的とており、現在主流となっている治療法です。

また、もうひとつの有効成分「フラジオマイシン硫酸塩」が化膿を防ぎます。

抗生物質のフラジオマイシン硫酸塩が細菌増殖とさらなる悪化を防ぎ、フルオシノロンアセトニドが抗炎症効果を発揮します。

プレバリンα軟膏

引用:ec.sundrug.co.jp/

「プレバリンα軟膏」は、ゼリア新薬から発売されているアンテドラックタイプのステロイド剤(第2種類医薬品)です。

アンテドラックとは、皮膚の表面(患部)では抗炎症効果の高いステロイド剤として働いて、体内に吸収されると分解されて作用が弱くなる薬剤です。

プレバリンα軟膏には、有効成分のリカドイン・ビタミンE・イソプロピルメチルフェノールが配合されています。

リカドインがかゆみや痛みを抑え、ビタミンEは血行を促進して治りを早め、イソプロピルメチルフェノールが患部を殺菌して二次感染を防ぎます。

テレスHi

引用:ec.sundrug.co.jp/

「テレスHi」は、武田コンシューマーヘルスケア株式会社が製造し、ジョンソン・エンド・ジョンソンから発売されている鎮痒消炎薬(第2類医薬品)です。

アンテドラッグステロイドが炎症を抑え、かゆみ止め成分であるジフェンヒドラミンとクロタミンがかゆみに対して素早い効果を発揮します。

亜鉛華軟膏

引用:syusa.i-sight.jp/

「亜鉛華軟膏」は、小堺製薬から販売されている収れん消炎剤(第3種類医薬品)です。

亜鉛華軟膏に含まれる「酸化亜鉛」が患部を保護して、炎症を和らげる効果が期待出来ます。

また、患部の浸出液を吸収して乾燥させる働きがあり、皮膚の再生を助けて早く治します。

消炎効果が穏やかな軟膏なので、比較的軽い症状に適しています。

そのため、ステロイド剤のように劇的な効果は期待出来ませんが、皮膚の保護を目的として長期的に安心して使用することは可能です。

終わりに

足の裏の汗疱の効果のある市販をメインに、汗疱のメカニズムや汗疱の治療方法について解説しました。

汗疱と水虫は非常によく似ているので、素人では判断がとても難しいです。

今回ご紹介した市販薬を使用する場合は、約1週間をメドに使用し、効果の改善が見られない場合には速やかに皮膚科を受診しましょう。

また、汗疱は汗をたくさんかく事が原因となって発症します。

日頃から足の裏や汗疱の出来やすい部分に汗をかいた時は、こまめに拭いたり、よく乾燥させることを心がけましょう。