全身から汗がだらだら出る汗。衣類はすぐにぐっしょりと濡れ、顔から流れ落ちる汗は人と会うことをためらい、電化製品が故障するような事態にまでなることがあります。全身からだらだら出る汗は、多汗症と呼ばれる病気の可能性があります。つらい全身の汗かきを治す方法を探ってみました。

全身性の汗かきと部分的な汗かき

汗かきには、全身から汗をぐっしょりとかく汗かきと顔やわき、手足など部分的しか出ない汗かきの両方の人がいます。スポーツをしたあとや暑いとき、発熱したときは、汗をだして体温を下げようとします。

一番汗をかく部位は額で、一般に、胸や背中の体幹部の方が手や足といった末端より汗をかきやすいのです。しかし、加齢とともに汗腺が衰え汗をかくことが減ってきます。

年齢とともに汗の量が減るのは、まず下肢、次に体幹部分、最後に頭部の汗です。人間は年をとっても頭の体温調節機能は維持しています。

全身性の汗かきとは

全身性の汗かきとは、全身からとめどなく汗がしたたり落ちるほど汗をかくことで、多汗症と呼ばれています。異常なほどの汗かきだと、他人の目を気にして、外出を控えたり、人と握手をすることができなくなったりして次第に人との付き合いがおっくうになるケースが多いです。

全身性の汗かきの人は全体の10%ほどで、部分的な汗かきの人の方が多いです。エクリン腺は全身にあるので、全身性の汗かきの人は全身からかなりの量の汗がでます。

部分性の汗かきとは

汗かきの人の90%は局所性の汗かきだと言われています。特に出やすいのは、顔、手の平、足の裏、わきなどに汗が異常に出る人です。 人間の汗腺は生まれた時には500万個、成長する過程で250万個ほどになります。その中で働いている汗腺と休んでいる汗腺があり、休んでいる汗腺からはあまり汗がでてきません。

汗かきの人は手足や頭、顔などの部分から汗をよくかきます。手の平や足の裏にはしわとしわの間に汗腺があり、転倒しそうなときに汗をだして手で何かをつかんだときや足の裏に汗を出してすぐに走れるようにし、滑り止めの役割をしています。

それが、汗かきの人はそれ以上に汗をかくので、支障がでてきます。とくに、精神的なことで汗が出る場合は手汗や額から汗が出ることが多いです。普通なら汗をかかないような人に何かを渡すとか書類をもらうなど、ちょっとしたことが汗を出す原因です。

そのため、部分的な汗かきは、ストレスがかかったり緊張する場面に出たりするときなど、精神的なことが原因であるケースが多いと言われています。

全身性の汗かきの原因

全身性の汗かきは、全身にあるエクリン腺から汗が多量にでることです。なぜ、それほど汗がでるのか、どんな原因があるのかを考えてみましょう。

病気が原因の汗かき

全身の汗かきの原因が病気からくるものもあります。寝汗を大量にかくなど、変な汗をかくと思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。全身の汗かきは甲状腺状腺機能亢進症や更年期障害、糖尿病、結核、褐色細胞腫、白血病といった病気からくることもあるので十分に注意しましょう。

自律神経の乱れが原因の汗かき

汗が出る仕組みは、体が熱くなったので汗を出しなさいと脳の視床下部から指令が出るため、自律神経の交感神経が働いて、汗腺から汗を出すようにします。交感神経は体の色々な動きを調節する大切な役割をしていて、汗の調節もしています。

自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類がうまくバランスをとって働くことで全身の機能を調節しています。しかし、ストレスや環境や緊張状態が続くと、自律神経が乱れて交感神経が過剰に働くことりよりだらだらと全身から汗が出るようになります。

肥満が原因の汗かき

肥満の人は汗かきの人が多いですね。それは、皮下脂肪が厚いため、体温を調節しにくくなるため、発汗量が増えて体にこもった熱を放出しようとする働きによるものです。脂肪が多い分、体温を下げる働きが必要です。

そのうえ、肥満の人は運動すると、やせている人よりエネルギーをかなり必要とするため、つい体を動かすことがつらくなり、じっとしている生活が増えてきます。汗腺は、普段動かさないで、急に動かすと能動汗腺から多量に汗がでることがあります。

血行もわるくなり、エクリン腺の働きが低下するので、ミネラルや塩分が吸収されずにべたつく悪い汗をかくようになります。

生活習慣が原因の汗かき

汗かきは遺伝するという見解は低いですが、家族は一緒に生活して食生活も同じです。その生活習慣の原因が原因で汗かきになることがあります。例えば、肉食や揚げ物などの脂肪分が多い食事を皆で食べているとか刺激の強い香辛料をたくさん使用しているなどが考えられ、家族の生活習慣が原因で、家族に多量の汗かきの人がいるという例です。

汗かきを治す方法

汗をかくことは体が熱くなったときにさげるため、非常に大切な働きをしています。そのため、汗をかかないようにすることではなく、汗を抑えることが大事です。

皮膚科を受診しよう

全身から汗がだらだら出る人は、皮膚科で診断をして多汗症と診断されると、それに沿った治療がなされます。

塩化アルミニウム外用

20%の塩化アルミニウムの外用薬は、気になる部分に塗るだけで汗の出る部分をふさぐため、塗った部分の汗が出にくくなります。ただ、皮膚が弱い顔の使用や肌の弱い人の使用は、皮膚炎の副作用があるので注意が必要です。

イオンフォレーシス

イオンフォートレスは、手の平や足の裏に有効な方法だとされています。水の中で手足に微弱な電流を流すと、水素イオンが発生します。すると、汗が出にくくなる方法で、週に1,2回行います。副作用がなく保険が適用されるので安い費用で治療を続けられます。ただ、ずっと通院をしなくてはいけないので、続かなくなる人もいます。

抗コリン剤の服用

コリン剤を服用すると、汗が出にくくなりますが、全身の汗を止めるので、熱が体にこもるなどの副作用があります。部分性の汗かきに多いですが、ストレスや緊張がある場合は精神薬が出される場合もあります。

ボツリヌス毒素注射療法

ボツリヌス菌を汗が出る部位に注射すると、その周りで発汗が抑えられることで治療として有効だとされています。特にわきの汗かきの人に効果が高いです。治療は、10~20分ほどで終わり、1階の注射で6か月ほど効き目が持続します。

交感神経遮断術

この手術は、胸腔鏡下交感神経遮断術で、汗の調節を行っている交感神経を内視鏡を使って遮断することで汗を止めることができます。発汗を止める最終手段として持ちいられます。この手術で感知しますが、代償発汗として、手術をしていない部分から多量の汗が出るようになります。手術は20~30分程度で日帰りで行われています。

自分で汗かきを治す方法

全身の多量の汗かきを抑えるためには、制汗剤を塗るとか局所を冷やすなどの方法があります。

制汗剤を塗る

引用元:http://www.withcosme.com/lp/salafe/ppc/ylp/?ad_code=ylp&utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&argument=npcXnsg5&dmai=a587726712665e

塩化アルミニウムは肌の弱い人には副作用が強い場合があるのですが、制汗剤のサラフェプラスは弱い肌の人でも使えます。全身だけでなく、皮膚が弱い顔汗にも使用できるので、顔からダラダラ汗が出ても安心です。

顔汗はメイクが崩れたり、汗を拭きながらプレゼンテーションをおこなったり、流れた汗がパソコンやスマホなどが故障したりといった悩みがあります。そのため、気になる部位を重点的に制汗剤を塗ると、その部位の汗が抑えられます。

特に、おすすめは薬用制汗クリーム「サラフェプラス」です。サラフェプラスは、フェノールスルホン酸の働きで汗腺を締めるので汗が出にくくなります。途中で化粧直しをするときのメイクの上からサラフェプラスを塗ることができるのでいつもバッグに携帯しておくといいでしょう。

半側発汗の原理を利用

引用元:https://blogs.yahoo.co.jp/crazy_tombo/47826251.html

汗を抑制するツボには大包と屋翳があり、左の手の平の真ん中を右の乳房にあてて、右の手の平の真ん中を左の乳房にあてます。その時に、中指と薬指が来るツボが大包で、親指がくるツボが屋翳です。舞妓さんが顔から汗を出さないのは、高い位置に帯を巻いて、このツボを抑えているためと考えられています。

この方法は、半側発汗の原理を利用したもので、一方の汗を止めると反対側の汗がたくさん出るという原理です。つまり、顔汗は止まって、胸や腰から汗が出るようにしたものです。市販の汗止め帯もこの原理を利用した物です。

局所を冷やして汗を出にくくする

汗が早くひくためには、動脈をひやすことです。首の頸動脈の部位や両わきの下、太ももの付け根などを冷やすことで冷たい血液が全身を流れて素早く汗をひかせることができます。冷たいペットボトルや保冷剤など、身近な物を利用して冷やすといいでしょう。

最後に

全身からでる汗かきの人は少ないですが、病気や自律神経の乱れ、肥満などが原因でおこります。全身から多量にでる汗かきを治す方法は、皮膚科を受診して、検査をし、治療をしてもらうことが一番ですが、頻繁に行くことが手間に感じる場合は、まず制汗剤やツボ押し、局所を冷やす方法で汗を抑えることもできます。しかし、多量に汗が出る人は受診をして治療をしないと難しいケースが多いです。また、病気が原因と疑われる大量の汗かきは、内科を受診して検査をしてもらうことも必要です。